ゴリラ裁判の日を読んだ。 ローズが動物園を相手に、夫を殺されたことについて裁判を起こす話だった。 ある日、人間の子供が動物園の檻の中に入ってしまい、その子供をゴリラが引きずる事件が起きる。 そして、動物園はそのゴリラを殺した。 このゴリラがローズの夫であり、これは不当だとして訴えた所が話の序盤である。
ローズの一生に沿って、自然に話が展開されていくから、ゴリラの視点で話が楽しめた。 言葉を学習する様子だったり、言葉を理解できるからこそ見えてくる他のゴリラとの違いについての考察が面白かった。 特に、ローズが人間の文化などを理解しようとする謙虚な姿勢は、胸を打たれた。 このゴリラの姿勢を見習ってコミュニケーション取れるようにしたいし、ちゃんと言葉にして伝える重要性を痛感させられた。
まさか、プロレスをすることになるとは思わなかったけど。。。
マーブル館殺人事件を読んだ。 ヨルガオ殺人事件の続編で、三作品目の小説だ。# [copilot:gpt-4.1] Generating commit message…
ヨルガオ殺人事件から数年立ち、イギリスに戻ってきた主人公がアティカス・ピュントシリーズの続編を担当するという場面から話が始まる。
カササギ殺人事件とヨルガオ殺人事件はとても面白いから、期待が膨らんでいたが、期待通りのミステリだった。 いつも通りの小説内小説という形を取りつつ、その世界観が相互に関係しているという考えるだけでも混乱しそうな内容なのに、ここまでの完成度の作者の筆力は凄い。
ヨルガオ殺人事件に隠された謎や、その裏で動く別の事件、そして小説内の謎など一冊でたくさんの要素が楽しめた。 これまで通りアナグラムがトリックに含まれているから、日本語で謎を解くことは難しいという点だけが悔まれる。 英語で読むしか無いのか??? 個人的には、主人公の前職周りの話が一番面白かった。 ここで、カササギの話が関わってくりとは予想外の展開だし、その先の展開も予想外で一気に読んでしまった。
失われた貌を読んだ。 このミスの一位だったから気になって読んだ。
山奥のある場所で、顔が潰され、手が切られるなどして身元を特定できなくなった遺体が発見された。 この殺人事件を担当することになった刑事の一週間を描く物語になっている。
面白かったと思うけど、素直にそうとは言い切れない。 作中の謎や出来事が全て事件に関わっていくように繋がっていく話の流れは凄かった。 ミステリーとしての謎解きと警察としての捜査を上手く繋げられている点が上手だったと思う。 だけど、帯の推薦文が煽り過ぎだった。 期待値だけがはね上がり、この期待値をどこに落ち付かせれば良いのか。。となってしまった。
#+TITLE 魚が存在しない理由
「魚が存在しない理由」を読んだ。 アメリカの生物学者で、スタンフォード大学初代学長のデイヴィッド・スター・ジョーダンと著者を巡る話だった。 タイトルが気になって手に取っり、生物学についての内容を期待していたが、良い意味で裏切られた。
ジョーダンは、様々な新種の魚を大量に発見した優秀な生物学者であった。 そして、スタンフォードの学長に就任した後も、標本を作り続けた。 落雷により標本が燃えてしまっても、地震によりめちゃくちゃになっても。 著者は、何がジョーダンをここまで執着させたのかに興味を持ったことをきっかけに、彼の人生を調査してる。
ほとんどが、ジョーダンと著者の人生で、魚類が存在しない理由については後半に少しだけ語られる。 この構成が見事だった。 前半まではジョーダンの功績が説明されるが、後半部分からその影の部分が語られる。 ジョーダンの死後に明らかになる、魚類という分類が恣意的に定義されていたという事実は、色々な事を考えさせられた。 悔しいことに、これが上手く自分の中で言語化できない。。。
読む人によって感想が違う気がして、良い本だった。
まぐさ桶の犬を読んだ。 この本を読もうとしたきっかけは、このミスで5位にランクインしていたことだ。 本を読む前は知らなかったが、シリーズ物の最新作らしい。
本屋件探偵の葉村晶が、近所の人の付き沿いを依頼される。 その人の親族である富豪から人探しを依頼される。 しかし、探す人の周囲の人間が、失踪していたり、不審な死を遂げていたりする所に気づく所から話が始まる。 本当に冒頭の文章では、主人公の葉村が死にかける所から始まる。
謎が謎を呼ぶ展開で、読んでいて飽きなかった。 次々と表れる癖の強い人間達の裏事情が後半で暴露されたり、暴かれたりしていた。 人の名前や関係性を把握するのが大変だったけど、何となくの理解でガンガン読み進めた。
それでも楽しめたのは、この本が持つ独特の雰囲気なのかもしれない。 主人公の葉村の皮肉っぽい視点や痛む体の描写が、何となく読みやすさに繋っているのかもしれない。 謎解きの間に、この描写があるから読めたのかも。
「一九八四+四〇 ウイグル潜行」を読んだ。 中国のウイグル自治区からカザフスタン、日本に住むウイグルの人々を取材したルポだった。 最初に、ウイグル自治区を取材し、カザフスタンに出国、その後日本に帰国しウイグル人を取材していた。 取材の様子も十分な内容だったと思うけど、ウイグル自治区からカザフスタンに出国する際、中国当局に拘束された話が衝撃的だった。 長時間に及ぶ取り調べのなか、素性を調べ上げられた結果、しばらくの間中国への入国が禁じられていた。 現実にこういう話があるのは衝撃的だったし、どれくらい大変なのか全然想像できない。
ウイグルとカザフスタンで、自由度が大きく違うなと感じた。 ウイグルの人に、宗教や収容施設の話を質問すると、「わからない」などの返答が多く返ってきた。 自治区内にも警察や監視カメラが多くあることに加え、撮影した写真を削除するように繰り返し注意されているのも目立った。 それに比べ、カザフスタンでは、取材相手が赤裸々に体験を語っていて、当局の監視もそこまで厳しくない様子だった。 自由度の違い以外にも、ウイグル自治区に住むカザフ人も収容所に入れられていたというのはびっくりだった。
収容所はあるという事は事実っぽいが、これが悪であるかという議論についてはちょっとよく分からなくなってしまった。 人権侵害という面を切り取ってしまえば、そうなってしまうのだが、治安維持という面では必要っぽいように思える。 改めて視点が変わると、何もかもが変わるということは忘れないようにしたい。
カササギ殺人事件を読んだ。 とても満足。 上下巻のから構成されていて、それぞれの巻において絡み合う別の殺人事件が展開されていた。
特に冒頭は「???」となるような書き出しで、読む本間違えたか?と思った。 読了した今、この冒頭は計算されていて、著者が意図した通りに感情を操られたような気分になる。 それぞれのミステリーのトリックについては満足で、段々と謎が解明されていく様子はページをめくる手が止められなかった。 上巻はカササギ殺人事件の様子が描かれており、下巻ではカササギ殺人事件を書いた人が殺されるミステリーだった。 カササギ殺人事件は、ある村にある屋敷で働く人と主が死ぬ事件を追い、後半では著者が残した謎を追う。
下巻の後半に両方の事件のトリックが明かされた構成になっていた。 上巻の謎の種明かしはされずに、下巻で新しい謎の話が始まるから、下巻の序盤はげんなりした。 でも、下巻にさりげなく上巻の登場人物の名前を出しておくことで、ちゃんと思い出せるようになっていた気がする。 このお陰で、「何の話だったっけ?」とならずに済んだから、両方のミステリーを楽しめた。
ファラオの密室を読んだ。 ある事件で死んだセティと呼ばれる神官が訳あって復活し、自分の死に関する謎を解くミステリー。 本の中には、大きく3つの謎がある。 一つ目は、神官セティはなぜ復活したのか?という謎である。 二つ目は、先王のミイラは何故棺の中に無かったのか? 三つ目は、ピラミッドの建築のための資材の移動が遅いのは何故か?というものであった。 二つ目の謎については、プロローグで事件が起きる。 そして、神官セティが冥界で目を覚まして小説が始まる。
ミステリーとしても面白かったし、エジプト社会の描写も楽しめた。 それぞれの謎のトリックについて、そうかという納得感があった。 背景にも、エジプト社会固有の事情が背景になっていて、エジプトという世界が活かされていた。 オシリスやアヌビスなどの多神教の教えを、アテンという唯一神に先王は変えようとした。 この宗教対立という実際にあった出来事を事件の背景に上手く導入されていたと思う。 宗教観の理解については、エジプト人ではない奴隷に質問させることで噛み砕かれて、うまかった。
エピローグでは、セティ本人の真実が明かされる。。。! これは、おまけと言って良いのか分かんないけど、小説の締めとして終わった感じがした。
中山七里の「有罪、とAIは告げた」を読んだ。 東京地裁を舞台に、人間の裁判官と同じ判決を出力できるAI裁判官「法神」の判決を巡るミステリー。 最初は、AI裁判官の導入や性能評価の話をしている。 この「法神」が、ある殺人事件において死刑を宣告する所から物語が大きく動き出す。
上手く言語化できないけど、すごくもやもやした。 AIに流される人やAIの営業をする人の行動や言動にムカついただけな気がしてきた。 AIは中国との技術交流の名目で持ち込まれていて、「法神」にはある秘密がある。 この秘密については現実味がある程度あると思うのだけど、露悪的過ぎのようにも感じた。
AI時代において、人間の仕事は責任を取ることであるということがメッセージの中核にあると思う。 これ、柞刈湯葉の「未来職安」の話と同じだ。 場所が裁判所か、架空の職業かという違いくらいしか無いんじゃないか?
文化系のための野球入門を読んだ。 日本に野球が持ち込まれてから、現代までどのような変遷を辿ってきたのかを解説しつつ、批評している本だった。
野球という一つの題材を、ジェンダーや歴史、社会など色々な側面から論じていて、面白かった。 野球が元々サブカル的なものであったことや、甲子園が成立に至るまでの経緯など、知らなかったことが多かった。 甲子園は、明るいニュースを生み出す必要があって企画された側面があったことや、球場のスタンド?に入ることができる女子が1人までという規定があるというのは知らなかった。 この規定については、甲子園の伝統とやらを守るという本音が隠れているという指摘など、ジェンダー論などにも踏み込んでいて、そこまで分析できるんだという視点が新しく得られた。
野球だけではなく、体育や他のスポーツについて論じている点も学びになった。 他のスポーツを同じように分析してみると、どのような結論が出てくるのか興味がある。 野球と比較されがちなサッカーについてはどうなんだろうか。