ブラッド・コバルト
コンゴで行われているコバルト採掘の現場を取材したノンフィクションだった。 様々なIT企業がコバルトのサプライチェーンの健全さをアピールしているが、実態はそうなっていない。 低賃金で長時間、危険な環境で採掘の現場で搾取されている労働者が居る。 採掘時に入るトンネル内の環境が良くない事に加え、崩落して生き埋めになる可能性もある。 加えて、ウランなどの危険な鉱物が含まれている可能性がある。 これだけではなく、鉱石を洗うことで生活に使用する河川が汚れることや、児童労働の問題などがある。
この本は、普段使っているスマホやPCがコンゴ人の命の上に存在しているという事実を突きつけてきた。 今となっては、手放すことができない製品だから、この搾取に加担していると言っても過言ではないと思った。 本の中でも指摘されているが、サプライチェーンの上流に居る自分にとってとても都合が悪い。 特に、この問題が解決した時に今のスマホの値段が上がるのかなあとか考えた時の気分は最悪だった。
現在のコンゴ政府では、汚職撤廃キャンペーンが行われているらしい。 これに期待したい。