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  • 中山七里の「有罪、とAIは告げた」を読んだ。 東京地裁を舞台に、人間の裁判官と同じ判決を出力できるAI裁判官「法神」の判決を巡るミステリー。 最初は、AI裁判官の導入や性能評価の話をしている。 この「法神」が、ある殺人事件において死刑を宣告する所から物語が大きく動き出す。

    上手く言語化できないけど、すごくもやもやした。 AIに流される人やAIの営業をする人の行動や言動にムカついただけな気がしてきた。 AIは中国との技術交流の名目で持ち込まれていて、「法神」にはある秘密がある。 この秘密については現実味がある程度あると思うのだけど、露悪的過ぎのようにも感じた。

    AI時代において、人間の仕事は責任を取ることであるということがメッセージの中核にあると思う。 これ、柞刈湯葉の「未来職安」の話と同じだ。 場所が裁判所か、架空の職業かという違いくらいしか無いんじゃないか?

    book Created Wed, 14 Jan 2026 00:00:00 +0900
  • 文化系のための野球入門を読んだ。 日本に野球が持ち込まれてから、現代までどのような変遷を辿ってきたのかを解説しつつ、批評している本だった。

    野球という一つの題材を、ジェンダーや歴史、社会など色々な側面から論じていて、面白かった。 野球が元々サブカル的なものであったことや、甲子園が成立に至るまでの経緯など、知らなかったことが多かった。 甲子園は、明るいニュースを生み出す必要があって企画された側面があったことや、球場のスタンド?に入ることができる女子が1人までという規定があるというのは知らなかった。 この規定については、甲子園の伝統とやらを守るという本音が隠れているという指摘など、ジェンダー論などにも踏み込んでいて、そこまで分析できるんだという視点が新しく得られた。

    野球だけではなく、体育や他のスポーツについて論じている点も学びになった。 他のスポーツを同じように分析してみると、どのような結論が出てくるのか興味がある。 野球と比較されがちなサッカーについてはどうなんだろうか。

    book Created Tue, 13 Jan 2026 00:00:00 +0900
  • 伊坂幸太郎のマイクロスパイ・アンサンブルを読んだ。 猪苗代湖で行なわれているロックフェスにおいて、毎年配布される冊子で連載されているものを文庫化したらしい。 これにちなんで、小説の舞台は猪苗代湖が中心になっている

    話の内容としては、ある機関のスパイと社会人の物語。 二人が住んでいる世界は別物のように書かれているが、実は繋っている。 どちらかが取った行動が、どちらかの世界に影響している様子が面白かった。 社会人の世界において、社会人の友達が猪苗代湖で無くしたものが、スパイの世界では宝物として引き上げられて、最終的に見つかる所や、社会人の世界で地面に置いたコップがスパイの命を助けたりしている。 この奇妙な偶然の一致が話を進めていく様子は、何か暖かい気持ちになった。

    book Created Wed, 07 Jan 2026 00:00:00 +0900
  • 中山七里の「夜がどれほど暗くても」を読んだ。 とある週刊誌の副編集長の息子が、ストーカー行為をし、無理心中したという疑いがあるという所から物語が始まる。 ここから、副編集長の身の周りで起きる様々な出来事がきつかった。 本当にありそうな所がとてもエグかったな。

    ネットで叩かれるだけではなく、様々な嫌がらせを受ける。 特に被害者の遺族から襲われてから、大きく物語が動いていき、一気に読ませられた。 殺人事件のトリックというよりも、副編集長の心の動きを追うというような楽しみ方ができて、ある意味新鮮だった。 さすがの筆力だった。

    book Created Mon, 05 Jan 2026 00:00:00 +0900
  • 過疎ビジネスを読んだ。 福島県国見町で救急車のリース事業が始まることになった。 財源は企業版のふるさと納税が当てられている。 このビジネスから、「誰も」注目しない過疎地域に巣喰うコンサルや行政の実態を暴いた本である。

    著者は新聞社の記者で、新聞や経済誌で書いた内容を基に書かれている。 企業や人名はほとんどが実名で書かれていて、著者の気概を感じた。 実際にコンサルから有名弁護士事務所を通して、起訴するという文面を受け取りながら、これは中々だった。

    コンサルや首長のせいにして解決という話ではない。 国の政策が大本になるのだが、選挙により選ばれた首長やスキームを考えついたコンサルへの監視について機能していないことも一因になる。 説教臭いけど、興味を持つことが大事なのではないかと思った。 全部に興味を持つのは大変だから、何か軸を定めて判断できるようにしてきたい。

    book Created Sun, 04 Jan 2026 00:00:00 +0900
  • ネット怪談の民族学を読んだ。 「くねくね」や「きさらぎ駅」などの2チャンネルのスレッドで話題になった怪談を民族学的に分析している本だった。

    本の中で、様々なネット怪談の具体例を話の流れをスレのリアクションと共に説明されていて分かりやすかった。 ある話について、他の人も同じような体験があることや話を知っているというリアクションがあるのは興味深かった。 ただ、僕がネット怪談にあまり触れてこなかったからか、怪談の話はほとんど知らなかった。 どれか一つでも、話の流れや内容を知っていれば、「そんな話あったな〜」というような楽しみ方ができると思う。 これに加えて分析が加わるので、より内容を憶えていられるような気がした。

    面白かったと思った点は二つある。 一つは、田舎の因習系のホラーコンテンツについては、偏見や差別があるという指摘がされているという点である。 最近はこのようなコンテンツは作られていないらしい。 この話は、暗黙的なバイアスが自分の中にあることを明らかにされて、はっとした。 加えて、民族学者が田舎に調査に行き、世間に公表することで、いわゆる遅れた文化が知らるようになった背景を知ると何とも言えない気持ちになった。

    もう一つは、怪談が作られる過程を分析している所だ。 ある画像やテキストから、勝手に物語を追加してく過程が共通していた。 日本だけではなく、スレンダーマンなどの外国にも見られるというのが興味深かった。

    book Created Sat, 03 Jan 2026 00:00:00 +0900
  • 虚の伽藍を読んだ。 いやー、面白かった。 400ページくらいあるが、一気に読んでしまった。

    主人公は、日本仏教の最大宗派で働く僧侶の陵玄。 この僧侶が、京都の土地に関する書類が不足している所から話が始まる。 同時に京都闇社会と繋っていく。。。という内容の小説である。

    第一部と第二部に分かれていて、一部では陵玄が組織の不正を暴き、出世する話だ。た。 二部では、宗派内の権力争いの様子が書かれている。

    陵玄は、仏のためと言いながら、様々な悪事に手を染めていく様子にぞっとした。 二部の権力争いの内容としては、選挙の票集めの事だ。 この票集めの道中で、一部で繋った闇社会の人間を易々と切り捨てていく。 ほとんどの人が死んでいく様子を見ながら、ここまで人が変わるのかと思った。 選挙に陵玄は勝つのだが、選挙の一番のライバルである親友を自殺に追い込むのは見ていられなかった。 この一部と二部の陵玄の豹変っぷりが味わえてとても良かった。

    book Created Fri, 02 Jan 2026 00:00:00 +0900
  • よい対立・悪い対立を呼んだ。 よい対立は、健全な対立と呼ばれている。 本の中には以下のように書かれている。

    自らを守り、互いを理解し合い、向上してくために欠かせないもの、それが健全な対立だ。

    これに対して、悪い対立は不健全な対立と呼ばれ、本の中では以下のように書かれていた。

    「善と悪」「わたしたちと彼ら」といった、相反する関係が明確になった時に起こるのが不健全な対立だ。

    この二項対立的な構図は色々な所で見たことある気がした。

    悪い対立に落ちてしまっても、よい対立に戻ることができるようになる事例が紹介されていて希望が持てた。 でも、これを実践するため、これまでの言説や行動を変える必要がある。 周りの人々は、突然の本人の変化を止めようと説得してきたりしてきていた。 二つの異なる事例で、同じような行動を周りの人が取っていて「なるほどなあ」となった。 本当に、よい対立に戻ることの難しさを感じた。

    二項対立的に考えて、人にレッテルを貼る所があるので、気をつけていきたい。 そういう人に対して冷たく当たるのではなく、きちんと意見を交換できるような謙虚な姿勢を取れるようになりたい。 まずは、人の話をきちんと聞くことから始める。

    book Created Thu, 25 Dec 2025 00:00:00 +0900
  • イランの地下世界を読んだ。 イランで生活している著者が一般市民の生活の様子やイスラム社会を描いている。

    中東情勢といえばきな臭い印象があるが、この本を読んで視点が変わった所か興味すら出てきた。 スカーフの話は面白かった。 ここで言うスカーフは、イスラム教の戒律において女性が身につけるための布である。 この布を公共の場で外すことで、イスラム社会やイラン政権などへの抵抗を示すこともできる。 それに対して、スカーフさえ着けてればイスラム社会で出世することができたりするらしい。 このような人達を著者は「イスラム・ヤクザ」と呼んでいて、面白かった。

    スカーフを巡る話だけでも十分にイランやイスラム社会への興味が向けられて良かった。 他にも、イスラム教で禁止されている酒や肉の話などがあった。 イランが多民族であることが関係していて、世界は単純ではないということを改めて実感できた。

    book Created Sun, 21 Dec 2025 00:00:00 +0900
  • 面白かった。

    この本を読む前は、カウンセリングについて話を傾聴する程度の印象しかなかった。 序盤に、カウンセリングについての説明が以下のようにされている。

    カウンセリングとは、心の問題に苦しんでいる人に対して、心理的に理解して、それに即して必要な心理学的介入を行う専門的な営みである。

    この文章が、本文中にあるカウンセリングの具体例や、説明を通してとてもよく理解できた気がする。 特に四章の冒険としてのカウンセリングのエピソードは、カウンセリングに専門知識が必要であることが実感できた。

    心の変化に二種類あると捉えているのは視点だった。 科学的な変化と文学的な変化の両方がある。 科学的な変化とは脳内物質の変化による心の変化、文学的な変化とは、過去に意味付けを行い物語ることで今を認識する事を通して心を変化させる。 科学的な変化は直感的に受け入れることができたけど、今でも文学的な変化について腹落ちして理解できているかは怪しい。 この変化を小説では描いているのでは?というような気もしてきて、色んな発見がある本だった。

    book Created Tue, 09 Dec 2025 00:00:00 +0900